俺様社長の恋の罠
「ほんとに、傍にいてくれるだけで、毎日顔が見れるだけでいいと思ってたんだ。だけどあの日……一人で泣いてる美月を見て、なんかたまらなくなって。美月も嫌がってなかったし、なんか身体から落としてみようかなとか卑怯なこと考えたりして」
崇人さんが私を引き寄せて、大事なものを触るように優しく髪を撫でる。
「全然平気じゃないくせに、いつも他人のことばっかり考えて自分のことは二の次で。俺は、そんな美月の幸いになりたかった」
あの日聞いたその話。崇人さんの幸いは何なんだろうと思っていたけど、その答えは……。
「私が、幸い……?」
崇人さんが、私をぎゅっと抱きしめる。
「前にも話しただろう。宮沢賢治の銀河鉄道の夜の話。そのなかでさ、本当の幸いはなんだろうっていう言葉が出てくるんだけど」
崇人さんの、手は……いつも優しい。優しく私に触れる。