俺様社長の恋の罠
「なんにもないよ。九条社長、私の……眞木の言う事務処理能力?それを買ってくれてるから。急ぎで作ってほしい資料があるみたい」
今回は素晴らしい言い訳ができたと自画自賛するけど、眞木は納得しきってないようだ。
疑うような目でじーっと私の事を見ている眞木にニコッと笑いかける。
「ほんとかよ」
眞木のその言葉に二回頷いて私は鞄を肩にかけた。
「ほんとだよ。じゃ、眞木、ほんとにごめん。眞木も早く帰って奥さん労ってあげて。ほんと、申し訳ない」
早口でそう言って、私の分の飲み代を置いて私は店を後にして会社に向かう道を歩く。
複雑な気持ちだ。
ホッとしてるような、悲しいような、嬉しいような、嫌なような、期待してるような、苦しいような。