俺様社長の恋の罠
いつも私はこの複雑な感情をもて余してこの道を戻る。
それから人気のない会社のエントランスを歩いて、エレベーターのボタンを押す。
低い音をたてて私の前に止まった四角い箱に、少しだけ迷って、結局私は身体を滑りこませる。
最上階のボタンを押しながらいつも思う、この箱は檻のようだと。
でもいつも、私は自分からこの檻に入るんだ。
自分の足で、九条社長のテリトリーに私は戻る。
エレベーターを降りて、私は秘書課の扉を開く。
誰もいない、薄暗いその部屋の自分の席に荷物を置いて、私は光のもれる社長室のドアをノックする。
「入れ」
そう言われてドアを開けると、豪奢な机に肘をついて不機嫌そうな顔で本を読んでいたらしい九条崇人と目が合った。