俺様社長の恋の罠
「何もつけてませんが」
香水も何もつけていない私はそう答える。九条社長は耳を舐めながら笑う。
その吐息にも反応してしまう身体が恨めしい。
「じゃあ美月自身の匂いなんだろ。好きだな、美月の匂い」
そう言いながら九条社長は私のスーツのボタンを外す。
それを外し終えた社長は私のワイシャツの裾から脇腹に触れて、私の顔をじっと見つめてくる。
「美月、本当の幸いって……何だと思う?」
急にそう聞かれて、私は驚いて目を丸くした。
「急に、何を……?」
私がそう言うと社長は少し笑いながら首筋に唇を這わせる。
「今日は美月と話したい気分なんだ。美月は宮沢賢治の銀河鉄道の夜を読んだことある?」
社長の言葉に私は少し考える。話したいと言いながらしっかり手は私の素肌を撫でているし、どうしたいのかがよく分からない。