天に見えるは、月
あまりにも急なことで、香凛は思わず驚きの声を上げてしまった。
「なにも驚くことじゃない。お前は俺のアシスタントだろう? お茶くみだったとしたら考えを改めなくてはいけないが」
「お茶くみではありません」
この間のことをまだ引きずっているのか。
香凛はムッとして、間髪入れずにそう返答した。
言ってから言い方がきつくなってしまったかもと気にしていれば、モンドは意外にも僅かに口角を上げた。
「ならいい。明日まで、この提案書に橘も目を通しておけ」
そう言うと、モンドは席を立ってさっさと部屋を出て行ってしまった。
香凛はテーブルの上の提案書を手にする。
「課長なのに、モンド自らこんなことまでやってるの……?」
大概、こういうものは課長以下がやるものだと勝手に思っていた。それにいつ、モンドはこれを作成しているのだろうか。