カタブツ上司に愛された結果報告書
歩道橋を利用している人は多いというのに、誰もおばあさんに手を貸すことも、見向きもせずに通り過ぎていく光景に、唖然とし足を止めてしまう。


よく外国人は『日本人親切~』と言っているのを、テレビで見たことがあるけれど、現状は全く違うと思う。

荷物を運ぶのを手伝うだけ。
それだけのことも出来ないのだから。


かくいう私も、そんな典型的な日本人だと思う。


声を掛けたい、手伝いたい。……って思っているくせに、なかなか声を掛ける勇気を持てずに立ち尽くしてしまっているのだから。


どうしよう……そうこうしている間にも、おばあさんは必死に力を振り絞りながら階段を登っている。


腕時計で時間を確認すれば、余裕を持ってきたから全然間に合う。


オロオロしている場合じゃないよね。
手伝いたいから手伝う! それでいいじゃない。


勇気を出し足を一歩踏み出した瞬間、私の横を颯爽と通り過ぎていく人影。
早いスピードに一瞬、小さな風が吹き荒れた。

目を見張り風を吹かせた主を目で追ってしまう。
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