カタブツ上司に愛された結果報告書
「なにより私に恋愛している暇はありませんし、代表のおっしゃる通り興味ありませんから」


きっぱり言い切る田中さんに、あれほど確信を得ていた代表もなにも言い返さない。

田中さんの話を信じたようで、運ばれてきた珈琲を飲んでいる。


さすが田中さんだ。
あれほど自信満々だった代表をいとも簡単に信じ込ませちゃうんだから。


内緒にしたいと言っていたし、これでよかったはず。――それなのになぜだろう。
胸が痛んで仕方ない。


私、田中さんに少しでもいいから動揺して欲しかったのかな? ……最悪バレてもいいと思っていたのかもしれない。

田中さんはそれを望んでいないと知りながら、私――。


ドクンドクンと胸が早鐘し出す。


納得していたはず。
田中さんと付き合えているだけで満足していたはずだよね?


それなのに私、いつの間にこんなに欲張りになっちゃったんだろう。


最初は好きでいるだけでもいいと思っていた。

会社に来るたびに田中さんのことを見ることができて、たまに挨拶だけだけど言葉を交わすことができて。
それだけで満足だったのに、次第に欲張りになっていった。
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