カタブツ上司に愛された結果報告書
「そうでしょう? 好きな女性にはなんでも話して欲しいですし、わがままを言って欲しい。甘えて欲しいものですから」


以前にも言われたことだけど、またこうやって面と向かって言われてしまうと照れてしまう。

するとすかさず田中さんは付け足してきた。


「それとそうやって反応されると、堪らなく嬉しくなります」


自分の分の缶コーヒーと私のカフェオレをテーブルの上に置くと、彼の大きな手が私の頬を優しく包み込む。
たったそれだけのことで心臓が飛び跳ねてしまう。


その反応さえも田中さんは楽しんでいるように見えた。


「好きですよ、美海」

「田中さん……」


少しずつ縮まる距離。
そのスピードに合わせるように、ゆっくりと瞼を閉じていく。


触れるだけの甘いキスに、脳内は痺れて蕩けてしまいそうになる。


瞼を開けると、至近距離で愛しそうに私を見つめる田中さんと視線がかち合う。


「退院したら沢山デートしましょう。少し足を伸ばして一泊旅行もいいですね」

「……っ旅行ですか!?」

予想外の提案にギョッとしてしまう。
< 151 / 163 >

この作品をシェア

pagetop