カタブツ上司に愛された結果報告書
田中さんが私を車で送っていってくれる!?

予想だにしない急展開に困惑する中、先を歩いていた田中さんの足は止まり、後をついてこない私に痺れを切らしたように、小さく息を吐きながら振り返った。


「早急に、とお願いしたはずですが?」

「すっ、すみませんっ!!」


若干怒りの籠った声に慌てて返事をし、後を追い掛けた。



そしてあれよあれよという間に、普段代表が通勤に使っている車の助手席に座り、田中さんの運転で自宅に向かっているわけだけど……。


えっと……なにこれ。

どうしてこうなった? 私はただ、田中さんとちょっとでもお近づきになれればと思っていたのに。

面識を持ってもらって、せめて私の名前と顔を覚えてもらえたらって思っていただけなのに……っ!


――ん? あれ、ちょっと待って。

さっきは動揺しまくりでサラッと受け流しちゃったけれど田中さん、「滑川さん」って呼んでいた、よね?


ずっと私のことなんて忘れていると思っていた。

入社しても挨拶を交わす程度だったし、忙しそうだったから、一々社員の名前と顔なんて覚えていないとばかり思っていたけど……もしかして違う?
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