カタブツ上司に愛された結果報告書
そりゃもう朝から興奮してしまい、震える指ですぐに返信した。
【お時間、あります!】と。


出勤前に送ったはいいものの、多忙なのか田中さんからの返信はいまだにこない。
だからついつい一日中気にしてしまっているのだ。


その返事はいまだに届いていない。


返事が届いたのは真由子さんと別れ、帰りの電車に揺られているときだった。


きっ、きた!!


マナーモードにしていたスマホが震え、すぐさま確認すると相手は田中さん。

プルプルと震えながらもどうにか内容を確認する。


【では明日の十時、ご自宅前にお迎えに伺います。】


業務連絡かのような、絵文字ひとつない素っ気ないメール文に歓喜してしまう。


やっぱりデートのお誘いだった! これって夢じゃないよね!? あの田中さんと休日十時から一緒に過ごせるなんて……っ!


明日のことを考えただけで興奮し、倒れてしまいそうだ。

手すりにつかまり、どうにか倒れないよう足に力を入れた。


【分かりました。気をつけていらして下さいね】


また震える手でメール文を打ち、ホッと胸を撫で下ろした。
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