カタブツ上司に愛された結果報告書
「これでおかしくないよね……?」


昨夜何度も鏡の前でコーディネートした服に袖を通し、また今日も鏡の前から離れられなくなってしまっていた。


淡い水色のワンピースとカーディガン。高さが低いヒールのパンプス。


田中さんに気合い入れ過ぎとか、似合っていないとか思われないかな? これは普通?


久し振りすぎるデートにテンパってしまう。


メイクもいつもよりは少し気合いを入れたけれど、派手すぎる? でも今日の服に合わせた色合いだし……。


そんなことを延々とグルグル考えてしまっている間に時間は刻々と過ぎていき、気づけば約束の時間まで十五分を切っていた。


「やばいっ! そろそろ行かないとっ」


慌てて身支度を整え戸締りをし、家の外に出て鍵を閉める頃には五分前を切っていた。


迎えに来てもらうのに、待たせるとかあり得ない! だから十五分前には外に出て待っているつもりだったのに……!


階段を駆け下り、アパートの前に出ると見慣れないワンボックスカーが一台停車されていた。

この前送ってもらったときはセダンだったけれど、あれは多分社用車だったはず。

もしかして家族で乗るようなあの大きな車が、田中さんの車……?
< 63 / 163 >

この作品をシェア

pagetop