カタブツ上司に愛された結果報告書
「違います! その……疲れてなんていません」

「じゃあどうしましたか?」


間髪入れず問いかけてきた田中さん。


本音を伝えてしまってもいいのかな? 田中さんは私のことを考えてここに連れてきてくれたんだよね? 入場券やフリーパスを前もって購入してくれて、ネットで色々調べてくれて。


そう思うと言葉に詰まってしまう。
気分悪くさせてしまいそうで怖い。


「話して下さい、滑川さん」


そんな私の心情などお見通しかのように発せられた彼の声――。

顔を上げれば、眼鏡の奥に見える力強い瞳が私を捉えた。


不思議と見つめられると、田中さんには嘘をつけない――と思わされてしまう。


促されるがまま、意を決し自分の思いを伝えた。


「私……アトラクションに乗りたいわけじゃありません。アトラクションなんてほんのおまけです。……田中さんともっと色々なお話したいですし、ふたりでゆっくり園内を見て回るだけでも充分なんです」


「そう……だったのですか」

驚く声に心臓がドキッと鳴る。
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