小悪魔な彼にこっそり狙われています
そこまで考えて、『あ』と思い出した。
……そうだ。昨日は少し荒れていて、飲みすぎてしまったんだっけ。
しかも荒れた原因というのが、飲み会が行われた居酒屋へ向かう途中に見た光景。
半年前に後味悪く別れた元カレが、女と歩いているのを見たからだった。
あんな男、とやけ酒をした結果がこれだ。あぁ、いい歳して恥ずかしい……!
考えながら、フロア端にある経理課のオフィスに書類を置いて、総務課のオフィスに戻ろうと歩いてきた。
来栖くんとまた行きあってしまう前にオフィスにこもってしまおう。
そう半開きのドアに手をかけると、総務課のオフィスから聞こえてきたのは社員たちの話し声。
「町田さん、さっきも怒られてたなー、大丈夫?」
「あ……はい。すみません、オフィスの空気悪くしてしまって」
それは、オフィスに戻ってきていたらしい町田さんと、私と同期の男性社員のようで、声を聞くだけでペコペコと頭を下げる申し訳なさそうな顔の町田さんが想像できた。
「課長も怖すぎなんだよな。女の子相手なんだからもう少し優しくしてあげればいいのに」
「い、いえ!私がしっかりしていないのが悪いので……」
ここで『そうですよね!』と愚痴にはしらないあたりやはり町田さんはいい子だ、とその反応に感心してしまう。