小悪魔な彼にこっそり狙われています



「もちろん限度ってものがあるけど、せっかくなら欲しいものもらえたほうが嬉しいかなって。けど現金じゃ色気もないし。だからほしいものを言ってごらん」

「そう言われても……欲しいものは買えないですし」

「ほうほう?じゃあなにが欲しいかくらい教えてよ。言ってみれば意外と手に入るかもよ?」



ふっとあやしげな笑みを見せる桐生社長に、来栖くんは少し考えたように黙り、なにか納得出来たのか首を縦に振った。

そして、彼はまっすぐ指をさす。



「え……?」



その指先が迷いなく指す先にあるのは、私。



「井上さんが、ほしいです。物よりお金よりも、井上さんだけがいればいいです」



はっきりと言い切ったその言葉に、その場の全員は『なにを言っているのか』というように唖然とする。

それは私も同様で、思いもよらぬ来栖くんの言動にただ驚くばかりだ。



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