小悪魔な彼にこっそり狙われています



それは、先日来栖くんの部屋で聞いた彼のまっすぐな想い。



『いくら疑われてもいいです。信じてもらえなくても、それでも気持ちは変わりません』



信じられずに逃げ出した、けど、心の底では本当は信じたいと願っていた想い。



そんな言葉、思い出させないで。

どうせ離れていくなら、ひどい言葉で断ち切って、現実を見せてくれればいいのに。



「そんな言い方して、期待させないで……どうせ本気じゃないくせに!離れていくくせに!」



つい張り上げた声に、彼は突然近付いて唇を塞ぐようにキスをした。

一週間と少し触れていなかった彼と、重ねる唇。その感触にそれ以上の言葉は飲み込まれてしまい、代わりにどうしてか涙が出た。



こんな想いを抱えても、それでもやっぱりそのキスが愛しい。

来栖くんのことが、好き。



素直になってしまうその心に、涙を止められずにいると、来栖くんはそのまま私をぎゅっと抱きしめる。

顔を彼の胸に押し付けると、微かにあの部屋と同じ香りがした。



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