小悪魔な彼にこっそり狙われています
すれ違えば目で追って、きっと彼女は覚えていないくらい、なんてことない会話のひとつが無性に嬉しかったりして。
それでもなかなか進めないまま過ぎる中、ある日の帰り道駅前でたまたま見かけたのが犬カフェに入っていく澪さんだった。
つい気になって後をつけていけば、そこには犬を抱えて笑う彼女の姿があった。
『あ、あのお客様また来てるんだ』
『うん。あの人犬大好きなんだろうね、いつもすごく嬉しそうな顔してる』
店員たちの会話の通り、いつもオフィスで厳しい顔をしている澪さんは、幸せそうに頬を緩め犬を撫でている。
柔らかなその笑顔が、今まで見た誰の笑顔よりもかわいらしくて、一気に心は掴まれた。
涙も笑顔も、本当の彼女の顔を知って、瞬間思い知った。
きっと俺は、彼女のことが好きなんだ。
どうしようもなく惹かれているんだ、と。