小悪魔な彼にこっそり狙われています
けれどそれまで特別関わりもなかったものだから、どう近づけばいいのかがわからなかった。
特にオフィスでの彼女はピリピリとしたオーラを漂わせていることが多いし、だからといって犬カフェでいきなり声をかけるのも……ストーカーだと思われそうだ。
どうしようか、どうするべきか。そう悩んでいるうちに迎えたのが、7月頭のある日の飲み会だった。
その日は総務課と秘書課の合同飲み会で、いつもなら俺は行かないけれど、上司から『たまにはおいで』と強く誘われたことから渋々参加することにした。
するとその場には、同じく渋々来たらしい澪さんがおり、お互い輪に加わってわいわいと騒ぐタイプではない俺たちは、自然と端の席に隣同士で座ると黙ってその場を過ごしていた。
折角の機会だ、なにか話そう、なにか話題を。
そう考えるけれど切り出せず、と頭をぐるぐるとさせていた。
ところがその時、それまでおとなしく飲んでいた彼女が、ドン!とテーブルにグラスを叩きつけた。