小悪魔な彼にこっそり狙われています
そしてそれから数時間後。定時の18時から30分ほど残業をしたところで、今日の仕事を切り上げ、私は会社をあとにした。
そわそわと急ぎ足でやってきたのは、会社からひと駅ほどしか離れていない大井町の駅近くにある猫カフェ……ならぬ、犬カフェ。
1時間1500円という料金を払って、様々な犬種の犬たちと触れ合える夢のような場所だ。
そう、私はもともと大の犬好き。けれど、ひとり暮らしでは満足に世話をするのも難しいからと飼えずにいる。
だけどやはりかわいい犬たちに触れることを我慢しつづけることは無理で……休日や平日の夜など、疲れた時はこの犬カフェにやってきて犬たちに心を癒してもらっているわけだ。
「よしよし、今日もかわいいねぇ、モフモフだねぇ」
ふれあいルームの壁際に用意されたソファに座り、一匹の白いポメラニアンを抱き上げる。
ふわふわとした毛が気持ちいいうえに、ポメラニアンはキラキラとした目で私を見つめるものだから、顔を緩めずにはいられない。
会社では誰にも見せないようなだらしない顔と甘い口調で、ポメラニアンの体をわしわしと撫でた。