小悪魔な彼にこっそり狙われています



あぁ、しあわせ……ここに住みたい……!!

心の底から感じる癒しに、部屋の端を通りがかった店員の『あの人また来てる』という視線を感じながらも、気にとめる気にもなれない。



すると、一匹の黒いチワワが近づいてきた。かと思えばその子は『かまって』というように私の足を小さな前足でカリ、とひっかく。



「なに、かまってほしいの?おいでおいで」



そんなおねだりがまたかわいらしく、ポメラニアンを一度ソファのうえに置いて、今度はチワワを膝に乗せた。

するとチワワは甘えるように私の体にすりすりと体を寄せる。



甘えてる……かわいいなぁ。



犬でさえこうして言葉がなくとも甘えていることを示せるのに、どうして私は言葉でも態度でも示せないんだろう。

それどころか、傷つけたり、軽蔑されたり……上手くできないことばかりだ。



来栖くんに対しても、そう。

あの後せめてものお詫びに、バッグから取り出したハンカチと『ごめんなさい』とひと言だけ書いたメモを彼のデスクに置いておいた。

けど思えば、もうとっくに乾いただろうあの時間にハンカチなんて渡されても意味がないだろうし、ごめんくらい口で言えって思われるかもしれないし……!



あぁもう、私なにしてるんだか……。


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