小悪魔な彼にこっそり狙われています
「自ら男の家に行くなんて、積極的ですね。襲いますよ?」
「その時はその左足を踏み潰すから大丈夫!」
「……つい今さっきまで心配してくれてた人の言葉とは思えないんですけど」
そんな会話をしながら目の前に停まったタクシーにふたりで乗り込むと、そのまま来栖くんの家へ向かい走り出した。
それから近くのスーパーに寄り買い物をして、やって来たのは大井町の駅からほど近い場所にある、5階建ての小さなマンション。
ひょこひょこと歩く来栖くんを気にかけながらエレベーターに乗り、4階で降りる。
手前から3番目のドア、『403』と書かれた部屋の前で足を止めると、来栖くんは慣れた手つきでガチャガチャッと鍵を開けた。
「せまいですけど、どうぞ」
「お邪魔します」
ドアを開けると、目の前には白い壁の短い廊下がある。
雑に靴を脱ぎあがる彼に続いて、自分もパンプスを脱いであがると、通されたのは広めのリビングだった。
あまり物のないリビングの真ん中には、白いラグマットにノートパソコンが置かれただけのガラスの丸テーブルと、ふたり用のソファ。
その向かいにテレビが置いてあるだけで、飾りなど余計なものはない。
けれどシャツやズボンなどが雑に脱ぎ捨てられソファにかけられているあたり、あまり几帳面ではないらしい性格がうかがえた。