小悪魔な彼にこっそり狙われています
「な、なんで追いかけてきたの」
「あんなところ見られて逃げられたら、追いかけるでしょ」
背中を向けたままの私に、来栖くんは背後からつぶやく。
「……さっきの子は?泣いてたけど」
「置いてきましたよ。もうとっくに別れてるんで」
別れてる、ってことはやっぱり元カノだったんだ。
あんなかわいい子と付き合っていた、そのことにまた卑屈になってしまう。
「よかったの?あんなかわいい子置いてきちゃうなんて」
「よかったもなにも、『なに考えてるのか分からない』って俺を振ったのは向こうですから。なのに昨日いきなり電話きて、『話があるから』ってこんな時間に呼び出されていきなりヨリ戻したいなんて話されても」
彼女の態度に呆れているのか、やや冷めた様子で言う彼に私は「ふっ」と鼻で笑う。
「いいんじゃない?ヨリ、戻しちゃえば?」
「え?」
「かわいいし若いし、私みたいなのよりあの子のほうがいいと思うけど」