小悪魔な彼にこっそり狙われています
私みたいな、ひねくれた年上を追いかけるより、泣きながらすがることができる、かわいいあの子のほうがきっといい。
そう自分にも言い聞かせるかのように呟いた。
「……井上さん、こっち向いて」
来栖くんはそう言いながら、私の肩を引き振り向かせる。
けれど、彼といた彼女の姿が思い出され、込み上げてくるのは卑屈や劣等感。それと、嫉妬心。
「っ……やだ!」
それらの感情を見られたくなくて、肩に触れた手を振り払う。
あぁ、いやだ。言わないで、私。
「来栖くん、私のことが好きなんじゃなくて、自分を振ったあの子と真逆だから気になるだけなんじゃないの?」
これ以上言わないで、止まって。
そう願うのに、言葉が止まらない。
「それは『恋』じゃなくてただの『興味』だよ」
発した言葉に、彼からはなにも言葉は返されない。
彼に目を向けると、瞬間、来栖くんが見せたのは冷ややかな目。
一瞬にして消えたその表情に、胸がズキッと痛む。