小悪魔な彼にこっそり狙われています
「そこまで来栖さんに惚れてたっけ?私の記憶では『付き合ってみたらただのよく分かんないボンヤリした男だった』って言ってた気がするんだけど」
「そうなんだけどさぁ……この前別れた彼氏が超お喋りだし束縛がウザくてさ、それと比べると晶って寡黙で放任主義でよかったなって。そう思ったらヨリ戻したくなっちゃって」
来栖くんの元カノが口を尖らせ言うことは、なんとも身勝手だ。けれど、そんなことを言いながらもその顔はやはりかわいらしい。
あんなかわいい子が、来栖くんと……想像しかけてチリ、と痛む胸に考えることをやめた。
「けどね、晶ってば『好きな人がいるから無理』のひと言でバッサリでさぁ!泣き落としも通用しないし……挙句に『あの人以上はいないから』って!超悔しい!」
ところが、彼女のひと言に胸の痛みも一瞬で消えてしまう。
「まぁまぁ、あとは飲みながら聞くからさ。行こ」
「今日は飲む!飲んでやるー!」
そう話しながら、ふたりはスタスタとその場をあとにした。