小悪魔な彼にこっそり狙われています




心に突き動かされるように、会社を出た私の足はそのまま来栖くんの家へと向かった。



見上げた先にあるのは、つい先日来たばかりの、5階建ての小さなマンション。

彼の部屋は確か、4階の403号室ということはきちんと覚えているのに、中へ入るのが躊躇われる足はマンション前で行ったり来たりを繰り返していた。



勢いで来てみたけど……いきなり家来るなんて、気持ち悪い?ストーカーっぽい?

引かれたらどうしよう、とか考えれば考えるほど嫌な想像ばかりをしてしまい、かれこれ10分ほどこの場でとどまっている。



どうしよう、やっぱりまた明日出直そうかな……いや、でも今日言わなきゃいけないし。けど……。



「井上さん?」

「わっ!?」



突然背後から聞こえたその声に驚き振り向く。

するとそこにいたのはまだスーツに革の鞄を持った来栖くんで、その様子から今帰ってきたところなのだろう。


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