小悪魔な彼にこっそり狙われています
「通り雨だと思うんで、やむまでうちにいてください」
「う、うん……ありがとう」
あがった来栖くんの家は、相変わらず適度に散らかっていて、私はその部屋の片隅に手にしていたバッグをおろした。
その一方で彼は、瞬く間に本降りになりだした窓の外の雨を見ると、奥の寝室からタオルを一枚手にして戻ってくる。
そしてそのタオルを私の頭にバサッとかけると、子供を相手にするかのようにわしわしと髪を拭いた。
「く、来栖くん?」
「髪濡れてるから、ちゃんと拭かないと」
そう言いながら頭を掴む彼の大きな手は、雑なようで優しい。
ガラス細工を扱うかのような繊細な手つきに、また胸がドキ、と音を立てる。
「それで?どうしたんですか、いきなり」
「えっ、あー……えっと」
思い出したように本題に触れられ、すぐに言葉は出てこない。
けれどちらりと見上げれば、目の前にはこちらを見つめるそのまっすぐな眼差しがある。