腹黒御曹司がイジワルです
「ありがと。でも多分来るから、大丈夫。それより彼と楽しんで」
「うん……」
千佳は納得のいかないような顔をして、それでも彼のところに戻っていった。
私はバッグからスマホを取り出した。
何度確認しても、連絡はない。
「はぁ」
賢は、こうして遅れることが多い。
でも今日くらいは時間通りに来てほしかった。
「鉄の女、ひとりだったわね」
私が近くにいることに気がついていないのだろうか。
営業部の女子社員が彼氏らしき社員と笑顔で話している。
こんなことなら、来るんじゃなかったと思ったとき……。
「我妻さん、ひとり?」
「えっ?」
私の前にシャンパンを差し出したのは、宮城君だった。
「あっ、ありがとう。宮城君は?」
まだ賢が来ると信じていた私は、答えをはぐらかした。