腹黒御曹司がイジワルです
「それも初めて言われたよ。やっぱり面白い」
ちっとも面白くなんてないわよ。
「でも、乾杯くらいは一緒にいいですか?」
彼はニッコリ笑いながら、実にスマートに私を誘った。
「うん。……まぁいいけど」
舞台の中央には、社長の姿。
スピーチが始まったけれど、あまり皆聞いていない。
「それでは、今年一年もご苦労様でした。乾杯!」
社長のひと言で、皆がグラスをカチンと合わせる。
「それじゃ、僕たちも」
そう言う彼が、私の目をじっと見つめるから、一瞬ドキッとしてしまった。
――カチン。
シャンパンのグラスが高い音を奏でる。
「志穂」
シャンパンをひと口、口にしたところで突然名前を呼ばれ振り向くと、賢がいた。
「賢、来てくれたんだ」
「うん」
賢は返事もそぞろに宮城君に鋭い視線を向ける。