腹黒御曹司がイジワルです
『総務』と口にした賢が、なぜか戸惑っている気がしたけれど、まるで夫のような彼の言葉に胸がキュンと疼く。
「いえ、こちらこそ。志穂、こう見えても寂しがり屋なんです。たくさん構ってあげてくださいね」
私の言えないことをいとも簡単に口にした千佳は、一瞬私に視線を送る。
「ちょっと、千佳!」
余計なこと、言わないで。
私が焦ると、賢はニッコリ笑って頷いていた。
「――それでは、また」
千佳が行ってしまうと、賢は私の持っていた皿からチキンを取り、口に入れた。
『寂しがり屋』なんて千佳が言ってしまったけど、彼はどう思っただろう。
でも、それを聞けないのが、彼との今の距離を示している。
もっと近づきたいのに、なかなか近づけない。
「宮城さーん」
まるでハートマークでもついたような声が時々聞こえてきて、チラッと宮城君の方を見る。
すると、女子社員に囲まれ満面の笑みを浮かべながら話をしている彼と一瞬目が合ってしまい、慌てて逸らした。