腹黒御曹司がイジワルです

「あぁ、お久しぶりです」


賢はなんだか少し焦った様子で、ぶっきらぼうにそう言った。


「お元気そうで。彼女、ですか?」


彼女の視線に棘を感じるのは、嫉妬の念があるからだろうか。


「うん、そう。それじゃあ」


あれっ? 彼女は誰?
紹介してくれると思ったのに、賢は早々に私の腰を抱き、その場を離れた。


「賢、彼女は……」

「あぁ、前に他の課と飲み会をしたときにいた子、かな。名前も忘れちゃったよ」


でも『お久しぶりです』って、はっきり知っているような口ぶりだったけど……。
気のせいだろうか。


彼女のことが引っかかりつつも、私はすぐに始まったビンゴに夢中になった。

今年の一等は、ペアでハワイ旅行。
大盤振る舞いのこの企画は、毎年盛り上がりが最高潮に達する。

ステージ上で次々と読み上げられる数字に、いちいちどよめきが起こり……。
< 28 / 34 >

この作品をシェア

pagetop