憂鬱な午後にはラブロマンスを
卑怯者!と叫びたいけれど、全く声が出せない。
そして、俊夫に抱きしめられている腕の力が強すぎて外せない。
抱きしめられる腕は珠子の頭を押さえキスから逃げられなくした。そして、自分の体ですら自分の思い通りには動かせない程に押さえ込まれた。
珠子はとうとう俊夫には抗えなかった。
「いい子だ」
「・・・」
珠子の抵抗する力がなくなると俊夫には力を持って逆らえないと分かってしまう。
観念するしかないのかと悲しくなってしまう。
「珠子、俺も限界なんだ。俺の妻になれ。」
俊夫は求婚しているのではなかった。珠子に命じていたのだ。俊夫の妻になり俊夫の望む夜を一緒に過ごすのだと。
「妻にはなれません」
「認めない。珠子を幸せにする。約束する。」
「幸せに?」
「そうだ。」
珠子は洋介と離婚後辛い毎日だった。
幸せな日々からどん底の生活を送って来た。
幸せにすると言われると、多少はその言葉にしがみ付きたくなる。それは珠子が女だからもう一度幸せに満ちた生活を送りたいと思うのだ。