憂鬱な午後にはラブロマンスを

「珠子、俺の妻になれ。嫌とは言わせない。」


俊夫の強引なまでのプロポーズに珠子は頷く以外の返事は与えてもらえなかった。
これはもうプロポーズではなかった。俊夫に気に入られたのが運の尽き。珠子はそう感じていた。

けれど、社長である俊夫と結婚すれば生活の苦労はせずに済む。そして、浮気をしないと約束した俊夫は子どもを沢山作ってくれる。
きっと、可愛い我が子に囲まれれば幸せな生活が送れるだろう。そうすれば、もう、洋介の時のような辛い想いをせずに済む。

あまりにも深く激しく愛したから洋介とは上手くいかなかった。


深い愛情ではなく信頼関係に基づいた夫婦であれば穏やかで幸せな暮らしが出来る。

珠子は激しく求める愛ではなく穏やかで友情のような関係が自分を幸せにしてくれるような気がした。



「珠子」

「本当に幸せにしてくれるの?」

「するよ、約束する。」


「分かりました。結婚します。」


「珠子!」


俊夫のキス責めにとうとう落ちてしまった珠子。
この時も俊夫の悦びのキスが続いたが、珠子には涙のような苦いキスでしかなかった。

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