憂鬱な午後にはラブロマンスを
「婚約したんでしょ? なら遠慮はいらないはずよ。」
投げやりの気持ちで結婚を受けたはずなのに、俊夫の素直な気持ちを聴くと、珠子自身が受けた俊夫の悪いイメージはどこかへと消えてしまった。
そして、俊夫の人柄は本来こういう人なのだと珠子は思い出していた。
「珠子、愛しているんだ。」
「・・・ごめんなさい。今はまだ愛は語れないの。」
「ごめん、無理に言わせない。俺が君を愛しているのを知ってくれていたらいい。だけど、遠藤君のことは忘れて欲しい。これからは俺が君を幸せにするのだから。」
珠子は洋介の名前が出ると体が硬直してしまった。
流石に、毎日、洋介の下で仕事をしながら俊夫との結婚生活を送ることは出来ない。
それどころか、顔を合わせるだけで息が詰まりそうになる。
「彼とのことは良い思い出にして欲しいんだ。出来るよね?」
「・・・え、ええ。」
珠子の渋る様子に俊夫は嫉妬してしまう。まだ、珠子の心の中を独占している洋介を一日も早く追い出したかった。
そして、これから作る思い出は、珠子の心の中を満たすのは自分だと俊夫はそう望んだ。
俊夫は珠子が上の空でいることに、きっと洋介のことを考えているのだろうと思った。
ならば珠子から洋介を追い出せばいいのだと、俊夫しか考えられない様にと甘く深いキスをした。