女神は夜明けに囁く~小川まり奮闘記③~


 夜の中で、彼が、水、と言って立ち上がった。私は息も切れ切れで、ぐったりとシーツに沈み込んでいる。

「飲む?」

「・・・はい」

 何とか起き上がって、ペットボトルから直接飲む。

 くわああ~・・・美味しい、水がやっぱり最高だわ。体中にしみこみだすその冷たい感触を楽しんでいると、部屋着の下だけはいて、彼が隣に滑り込んできた。

「・・・ねえ」

「うん?」

「玉置さんて何者?」

 ベッドの上で私に腕を回しかけていた彼が止まった。

「・・・何?」

「玉置さんて女の人、一体何?」

 ベッドライトの灯りの中で、彼は怪訝な顔をしている。

「文具の玉置か?」

「そう言ってたわね、確か」

 彼は首をすこし傾げる。それで?って聞いてるんだろう。

 私は裸のままで寝転び、掛け布団にくるまった。回されるはずだった彼の腕は途中で止まったままだ。

「今日、バックヤードでいきなり話しかけられて、喧嘩売られたわ」

「うん?喧嘩を売られた?」

 ・・・・まあ、そう言っても差し支えないだろう。

「私を小川さんと呼び、どうやって桑谷君を手に入れたの?策略家なの?って言われた」

「――――――――」

 桑谷さんが私から目を離してため息をついた。


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