女神は夜明けに囁く~小川まり奮闘記③~
「うん?」
「酔っ払ってない!」
・・・・私は一体、どんな女だったのだろうか。夫にしてアルコールとセットだと言われ、親友には袋からお茶を出したら仰天されるというのは。
弘美はしゅっと目を細めると、じーっと私を見た。相当恐ろしい顔になっているのはきっと気付いていないだろう。鏡でも出してやるか?
「――――まり、もしかして。オメデタ?」
私は驚く。何て鋭いんだ!と思って。さっすが女性。侮れない人種だ。だけどそう言った親友は、目の前で自分の言葉を手を振ってあっさりと打ち消し、どこに笑うところがあったのか知らないが、大爆笑している。
「ぎゃはははは!!まさかまさかまさかよねえ!ないない、まりに限ってそんな普通の女みたいなことねーよ!」
失礼だ。何だってんだ、この女は。
私は片眉を上げて、弘美をじろりと見た。
「・・・・あのね、やることやりゃあ出来るのよ、子供はね」
ぴたりと爆笑を止めて、今度こそ本気で驚いた顔で弘美が私をじっと見た。
「マジで?」
「うん、将来の弘美のダンナの名にかけて」
「まーじーでええええ!?」
「うん、なんなら将来のアンタの子供の名前にかけてもいい」
やかましいわ!そのムカつく賭け対象止めなさいよ!と彼女は立ち上がり、火のついてないままだったタバコを机に放り投げた。
「畜生!」
私は怪訝な顔で見上げる。どうしてこんなに怒られなければならないのだ。
「何怒ってるの?」