女神は夜明けに囁く~小川まり奮闘記③~


 私はそれを呆然と見ていて、弘美に急かされてやっと思考能力が戻ったくらいだ。

 話を聞いた弘美は朝から爆笑をして、まりのお母さん好きだわ~!!とピョンピョンはねていた。

 ・・・元気だな、31歳。落ち着いてくれ。


 展開は思ったようではなかったけど何とか泊まるところはキープしたから、今度は休みを取らなきゃならない。元々今日と明日は連休だったからいいけれど、その後2日のシフトを誰かと変わってもらわないと店に穴が開いてしまう。

 そんなわけで、弘美にお礼を言って部屋を出たあと、私は勤務先の百貨店へ向かった。

 今日のペアは大野さんと福田店長だったはず。遅番の福田店長を上手く捕まえられるといいけど・・・と思いながら売り場へ行くと、カウンターには福田店長がいたから驚いた。

「おはようございます。・・・あれ?今日大野さんでは?」

「あら、小川さん、おはよう」

 ニコニコと笑って店長が振り返る。そして、自分の用事で早番と遅番を変わってもらったのだと教えてくれた。

「丁度よかった、店長、お話があるんです。すぐに済みます」

 お茶にいくことはないから、と言うとカウンターの前に出てきてくれた店長に、妊娠のことを話す。

「それは、おめでとう!ちゃんと妊娠だったのね、こちらも安心したわ~」

 微笑んで、手を握ってくれる。その優しさに疲れた心が一瞬で解けた。

「なので、予告通りにこちらにはご迷惑おかけすることになります。すみません」

 私が頭を下げるのに、肩をポンポンと叩いて大丈夫よ、と話す。


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