キミと初恋、はじめます。
「えー。名字教えたら、シキちゃん名前で呼んでくれなくなっちゃうでしょ?だから嫌だ」
「な、名前で呼びますから……!翔空先輩、でいいですか」
「あ、先輩もやだ。ついでに〝翔空くん〟っていうのも禁止。翔空って呼んで?」
……わがまま!
本当に本当にほんっとうに飽きれるほど、マイペースな人だ。
少しでも油断したら、こののんびりと甘い雰囲気に呑まれそうになってしまう。
「でも、あの……やっぱり先輩ですし!」
「嫌だ。敬語も禁止ね、ほら翔空って呼んで?シキ」
────〝シキ〟。
そう言った彼に、胸がキュッと締め付けられた。
……あれ、なんでキュッってなるの?
あたしは、この人に恋をしてるわけじゃないのに。
かっこいいから……だよね、きっと。
「と、翔空…!わかったから、あの、お願いだから、起きあがらせて!」
自分でもわかるほど、今あたしは目が泳ぎまくってるけどもうこの際どうでもいい。