キミと初恋、はじめます。


「えー。名字教えたら、シキちゃん名前で呼んでくれなくなっちゃうでしょ?だから嫌だ」


「な、名前で呼びますから……!翔空先輩、でいいですか」


「あ、先輩もやだ。ついでに〝翔空くん〟っていうのも禁止。翔空って呼んで?」



……わがまま!


本当に本当にほんっとうに飽きれるほど、マイペースな人だ。


少しでも油断したら、こののんびりと甘い雰囲気に呑まれそうになってしまう。



「でも、あの……やっぱり先輩ですし!」


「嫌だ。敬語も禁止ね、ほら翔空って呼んで?シキ」



────〝シキ〟。


そう言った彼に、胸がキュッと締め付けられた。


……あれ、なんでキュッってなるの?


あたしは、この人に恋をしてるわけじゃないのに。


かっこいいから……だよね、きっと。



「と、翔空…!わかったから、あの、お願いだから、起きあがらせて!」



自分でもわかるほど、今あたしは目が泳ぎまくってるけどもうこの際どうでもいい。
< 25 / 418 >

この作品をシェア

pagetop