キミと初恋、はじめます。
「あたし、引っ越してきたばかりで……まだこの辺の事なにも知らないんだ」
隣を歩く翔空をチラリと見上げながら、あたしはへらりと笑った。
「前はどんなところに住んでたの?」
前、か。
あたしは少し考える様に、顎に指をあてる。
「田舎だった。田んぼばっかりの所。でも1年も住んでないから、あまり思い入れはないかも知れない。その前は、北海道の雪がすっごく多い場所で……って、遡ったら遡り切れないほど、あっちこっち住んでたよ」
思い出すように過去の記憶を遡っていく。
「色んな場所知ってるってすごいね」
優しく笑って言った翔空に、ふるふると首をふって、あたしは小さく溜息をついた。