キミと初恋、はじめます。


「友達とかも出来ないし、落ち着かないよ」



あたしは、ひとつの場所に長く住んでる人に憧れるんだ。


心を通わせる友達が出来たり、彼氏が出来たり……そんな事すら出来ないんだから。



「友達?俺ら、もう友達でしょー?」


「え?」


「俺的にはカノジョになって欲しいんだけど、シキちゃんにはまだその気がないみたいだからね」



サラッと言った翔空を驚いて見上げると、くすりと笑った彼は改札を出て立ち止まった。


友達、か。

この友達という関係は、あたしがこの場所からいなくなったら消えるのだろうか。


元からなにもなかったように、あたしの存在すら忘れて……どこかに飛ばしてしまうんじゃないだろうか。


あたしを、好きだと言った翔空でさえも。


そんなことを思いながら、隣でキョロキョロと辺りを見渡す翔空をちらりと見上げた。

< 36 / 418 >

この作品をシェア

pagetop