キミと初恋、はじめます。
「……ま、でも、俺も本当は素直になれてないんだけどね」
ワントーン低い声でボソッと言った翔空に、弾かれるように顔を上げる。
「え?」
「なんでもないよ」
今、なにか隠した……?
ニコッと笑った翔空に、なぜか心にモヤがかかったようなわだかまりを覚える。
でも尋ね返す前に、いつの間にか自分の家の前まで来ていた。
「あ……翔空、ここあたしんち」
ピタッと立ち止まり、翔空の手を引いて大きな一軒家を指さす。
ここは、どうやら転勤族のあたしの家族にとっての本家らしい。
あたしの生まれは東京で、まだ小学校にあがる前はこの家に住んでいたとか。
小さかったしなにも憶えてないけど。
お父さんの転勤で引っ越す場所は、いつもアパートとかマンションが多かった。
それが今回は都内───元の家に戻ってきたってわけなんだ。