DQN女がオトナになるまで。


あたしは手を止めて
呼ばれたカウンターの席へと向かった。

するとそこには見慣れた顔が...

カウンターに座っていたのは
登川さんの紹介でバイトを
していると言っていた女の人、
谷口(やぐち)さんと
その隣には野澤さん。

いつの間に来てたんだろうと
疑問に思いながらも
あたしは注文を取りに行った。

「...」

「ビールね」

「以上で大丈夫ですか?」

あたしが立ち去ろうとしていた時、
野澤さんがまた口を開いた。

「てかいくつなんだっけ?」

「17ですよ〜」

「わっか〜!」

野澤さんはほろ酔いなのか普段よりも
さらにフレンドリーな気がする。

「こらこら若い子に絡まないの〜」

隣にいた谷口さんが
ごめんね、と苦笑していた。





注文を流し、キッチンに戻ると
そこにはまだ登川さんがいた。


「あの二人って仲良いんですか?」

「んー?付き合ってるんだと思うよ」

「えっそうなんですか!」

なんだこのカップル率は...

バイトをしている姿しか
見たことなかった人たちの
恋愛事情を知ったあたしは
羨ましく思い、少しだけそんな展開に憧れた。

それに何よりお似合いだ、と
素直に思った。





だけど単純なあたしは

野澤さんがキッチンの中での仕事だからと
いつもかぶっている帽子を
脱いだところを今日初めて見て
なんだかかっこよく見えてしまっていた。
< 9 / 36 >

この作品をシェア

pagetop