イジワル同期とスイートライフ
スピーチの提案をもらったときの動揺を、忘れはしない。
どうしてあんな、私を試すような。
いや、単に私がネガティブに受け取りすぎていただけなんだけど。
でも数日の間、ほんと胃に穴が開くくらいつらかった。
つい恨みがましくなった口調を平然と受け流し、久住くんは肩をすくめる。
「だって、ライバルにあんまり塩送るのも、面白くないもんな」
耳を疑った。
私、ライバルなの?
こちらをちらっと見た久住くんが、缶に口をつけたまま二度見した。
「会社で泣いちゃうとか、女子だな」
「泣いてません、女子だけど」
「嘘つけ、目赤いぜ」
「うるさいな」
からかうように私の頬をつまむ手が、ふいに耳のほうへ移動する。
あ、と思う間もなく、久住くんの頭で電灯の光が遮られ、視界がかげる。
音もなく重なる、親愛のキス。
一瞬で離れたものの、お互い周囲の空気を探るように、顔を寄せ合ったまま、しばらく黙った。
「…会社内でとか」
「だよな、悪い、なんかつい…」
バカ、と小声で言う自分の顔が、赤くなってくるのを感じる。
久住くんも、自分で自分の行動に困惑しているような様子で目をそらした。
遠くない。
久住くんが、ここにいる。
嬉しくなって、袖を引っ張ってもう一度キスをした。
「おい」
「そっちがしたんでしょ」
「やめろ、もう絶対やばい」
戸惑って嫌がるのが面白くて、最後にもう一度しようとしたとき。
「お前らなにやってんの?」
「わー!」
ひょいと顔をのぞかせた吾川くんに、ふたりして飛び上がるほど驚いた。
「いきなり入って来んな!」
「公共の場で、そんなこと言われても。それよりなにやってんの」
「なにもしてねーよ」
「いやいや、今さらしらばっくれたって、見ちゃったし」
どうしてあんな、私を試すような。
いや、単に私がネガティブに受け取りすぎていただけなんだけど。
でも数日の間、ほんと胃に穴が開くくらいつらかった。
つい恨みがましくなった口調を平然と受け流し、久住くんは肩をすくめる。
「だって、ライバルにあんまり塩送るのも、面白くないもんな」
耳を疑った。
私、ライバルなの?
こちらをちらっと見た久住くんが、缶に口をつけたまま二度見した。
「会社で泣いちゃうとか、女子だな」
「泣いてません、女子だけど」
「嘘つけ、目赤いぜ」
「うるさいな」
からかうように私の頬をつまむ手が、ふいに耳のほうへ移動する。
あ、と思う間もなく、久住くんの頭で電灯の光が遮られ、視界がかげる。
音もなく重なる、親愛のキス。
一瞬で離れたものの、お互い周囲の空気を探るように、顔を寄せ合ったまま、しばらく黙った。
「…会社内でとか」
「だよな、悪い、なんかつい…」
バカ、と小声で言う自分の顔が、赤くなってくるのを感じる。
久住くんも、自分で自分の行動に困惑しているような様子で目をそらした。
遠くない。
久住くんが、ここにいる。
嬉しくなって、袖を引っ張ってもう一度キスをした。
「おい」
「そっちがしたんでしょ」
「やめろ、もう絶対やばい」
戸惑って嫌がるのが面白くて、最後にもう一度しようとしたとき。
「お前らなにやってんの?」
「わー!」
ひょいと顔をのぞかせた吾川くんに、ふたりして飛び上がるほど驚いた。
「いきなり入って来んな!」
「公共の場で、そんなこと言われても。それよりなにやってんの」
「なにもしてねーよ」
「いやいや、今さらしらばっくれたって、見ちゃったし」