イジワル同期とスイートライフ
頭の片隅に、私はいる?

たとえば起きた瞬間や寝る前に、私を思い出すことがある?

実は私は久住くんのことばかり考えているんだけど、そのことは知っている?


会いたいな。

会いたい。


 * * *


「うわー、ついてない」



翌朝、携帯を見ながら幸枝さんがつぶやいた。



「どうしました?」

「冬休み、旅行に行こうと思ってた国がさ、情勢不安てやつ」



そうか、冬休みってもう、今月か。

まったく考えていなかった。

なにしよう。



「クーデターだってさ。行く頃には収まってるかなあ、行き先変えようかなー」

「幸枝さんてアクティブですよね」

「なにするか考えるのが面倒なときは、旅行が一番簡単なんだよ」



そういうものか、と思いながら、見せてくれた携帯をのぞいた。

独裁政権とか軍部指導者とかいう言葉が躍る、見るからに不穏な記事だ。

あれっ、ちょっと待って、これって。



「あの、これ、今の話ですよね」

「ゆうべだね、どうしたの」

「ここ、久住くんの出張先で…」



少し間を置いて、幸枝さんが、「えっ」と緊張した声を出した。



「今行ってるの?」

「昨日の夜のフライトで、帰ってきているはずなんですが…」



順調に飛んでいれば、もう空港に着いているはずだ。



「便名わかる?」

「あっ、はい」



伝えると、幸枝さんがなにか検索しはじめた。

航空会社のwebサイトを見て、眉根を寄せる。



「欠航になってるね、空港にも影響出てるみたい」

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