イジワル同期とスイートライフ
うわ、それはついていない。

大変だろうな、くらいに受け取った私と違い、幸枝さんは難しい顔をしていた。



「…あの、これってどのくらい深刻なんですか」

「いや、この国、前にも同じようなことあったんだけどさ、そのときは邦人の渡航者がひとり、巻き込まれてるんだよね」



意味を理解するまでに、けっこうかかった。

言葉も出ない私に、幸枝さんが慌てて言い添える。



「いや、久住くんならちゃんと立ち回るだろうし、大丈夫だと思うけど。でもまあ、不安な思いはしてるんじゃないかな」



急に、あたりがぐらりと揺れた気がした。


時間を追うごとに、そのニュースの取り上げられ方が大きくなっていくのが、私の緊張を増大させた。

現地の空港は完全に封鎖されてしまったらしい。



「乃梨子ちゃん…」



夕方近くなって、幸枝さんが新しい記事を見つけた。

日本人複数名がけが、という漠然とした情報を目にしたとき、いてもたってもいられなくなり、フロアを飛び出した。



「駐在に連絡入れろ、久住を拾ってやれないか」

「それが、連絡取れないらしいんですよ」



海外営業部に入ったとき、そんな声が聞こえて、息を飲んだ。

企画課に駆け寄ると、騒然としているのが一見してわかる。



「空港には行ってたのか?」

「そうらしいです、特約店の人間が送っていったと」



WDMでお世話になった、アジア営業の人も来ていた。

これ…本職の人たちがここまで張りつめているって、相当の事態なんじゃないだろうか。



「あっ、六条さん、久住から連絡あったりした?」



慌ただしい動きの中で、永坂さんが私を見つけた。



「いえ、あの、状況って…」

「今ね、付近の国から情報もらってるんだけど、まあ、よくないみたいだね」

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