イジワル同期とスイートライフ
「そういえばさあ、久住から聞いちゃった」



久住くんがお手洗いへ立ったとき、吾川くんが急ににやにやしはじめた。

え。



「…なにを?」

「そういうのいらないから! さっきだって久住の奴、すんごいナチュラルに六条さんの隣、座っちゃうしさあ」



うわ、言われてみれば…。



「六条さんが赤くなるとか、新鮮」

「もう、ちょっと、やめよう、その話」

「でもこれで、もう久住は完全に合コンから卒業かな」

「別にいいけど、合コンくらい…」

「それはいかん、彼女持ちを連れてくのは俺の流儀に反する」



主義とか流儀とか、わけのわからないものを持っているのは、男の人に共通する特徴なんだろうか。



「ねー久住ってさ、彼氏としてはどんな感じなの? 優しい?」

「いや…いつもどおりだよ、たぶん…」



さすがにこういうのは恥ずかしい。

また自分の脳が誘導されたとおりに、ふたりきりのときの久住くんとかを思い出してしまうから、なおさら恥ずかしい。

回想がそれ以上深いところまでいかないよう、必死に戒めた。



「それ、むかつくってことじゃん」

「吾川くんの感想でしょ、それは」

「でも強引でしょ?」

「まあ…」

「好きだとか言ってくれる?」

「うー、うーん…」

「テクは?」



調子に乗りはじめたのを、メニューで叩いて黙らせる。

いやらしく笑う吾川くんと、火照った顔をおしぼりで隠す私とを見て、戻って来た久住くんが「なんだ?」と怪訝そうな顔をした。


 * * *


「はあ? 俺、吾川になんかなにも言ってねえぞ」

「え…ええ!?」



嘘!

帰ってから、衝撃の事実が判明した。

私のベッドに長々と寝そべった久住くんが、バカにしきった視線を投げてくる。

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