イジワル同期とスイートライフ
「騙されてんじゃねーよ」

「う…ごめん」



釣られた挙句いろいろ答えさせられて、完全に恥かいただけじゃないか…。

恥ずかしさと情けなさで小さくなる。

片腕で頭を支え、久住くんが冷ややかに言う。



「なんか余計な情報与えてねえだろうな」

「わ、わかんない、たぶん平気…」



ごにょごにょと答える私の腕を掴んで、ベッドの上に引き上げると、抱きかかえるように横に寝かせて、背中をなでた。

シャワーを浴びた身体から、いい匂いがする。



「お前、けっこう間抜けだよな」

「ごめんって言ってるじゃない」

「そういや須加さんがさあ」



いきなり飛び出た名前に、ぎくっとした。

背中の手が、訝しむようにゆっくりと這う。



「…名前出しただけでこんな汗かくって、なに」

「ちょっとトラウマ…」



久住くんとの距離が開きに開いた、決定打ともいえる出来事にかかわる名前なので、できることならこういうひとときに、聞きたくない。



「気の毒なこと言ってやるなよ」

「久住くんがそれを言うのね」

「俺に宣戦布告してきたぜ、『僕にも挑戦権くださいよ』って」



うわあ…。

須加さんくらいの人なら、ほかにいくらでも女の子見つかりそうじゃないか。

なんで私なんか。



「私、ちゃんと飲み断ったよ、一回」

「知ってるよ、偉い偉い」



満足そうに微笑んで、頭をなでてくる。

やっぱりあれは、誘わせておいて、私を試したんだな。

そういうところが自分勝手だって言うんだよ。



「また、好きにすればみたいなこと言ったの?」

「お前がぐらつくの、見てやろっかなと思ってさ」

「最低!」

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