イジワル同期とスイートライフ
これがなければ、結局は身体だけの関係でしょ、と割り切れもするのに。

彼のキスはいつも親しげで飾らなくて、気を抜くと愛情めいたものすら感じ取れる気がして、困る。



「キス好きな人?」

「え? いや、普通じゃね?」



聞いてみたものの、本人はきょとんとするだけだった。

私の頭を抱くように、両腕で身体を支えて、その腕の中で見下ろされると、ますます本物の恋人同士のようで、不本意ながらも胸が鳴る。

じっと見ていると、向こうがなんだか戸惑ったような顔をした。



「なに、俺、しすぎ?」

「嫌って言ってるんじゃなくてね」

「なら、なんでそんなこっち見んの」

「かっこいいなと思って」



こんなの、言われ慣れているとばかり思ったのに、驚いたことに久住くんは、ふわっと耳を染めた。

それが恥ずかしかったらしく、視線を泳がせる。



「見るなって」

「じゃあどこ見てたら…わっ」



いきなり視界を遮られたので、思わず声をあげた。

片手で私の目を覆って、久住くんが噛みつくようにキスをする。

舌がさっきより熱く、重く絡む。

視界を奪われたまま、たっぷりと貪られ、たまらず息が上がった。


終電までにベッドを出ることはできなかった。

ここから彼が出社したのは、最初のときと合わせて、これが二度目。



 * * *



「実はあれからけっこう考えて、黒沢さんのおっしゃってた方向のほうがいいのかなとか、で、周りにも聞いたんですよ」

「うんうん」

「それ踏まえてもう一度直してみたんですけど、どうですかね。やっぱり前回の俺の修正だとやりすぎというか、逸ってたとこがあって」

「ちょっと見せて」

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