イジワル同期とスイートライフ
向こうのパーカーを脱がせると、下に着ていたTシャツも自分で脱いでくれた。

素肌で抱き合うと、満足の吐息がもれる。

安心する。



「緊張する…」

「あのね」



本当に指先が冷たくなっていたりするから、驚く。



「どうしちゃったの」

「だってさあ、なんか、大事だし、変なことして嫌われたくないし」

「女子なの?」

「なんとでも言えよ、もう」



もどかしくなるくらい丹念に、私の全身をなでて、服をはぐ。

ひんやりした手が、私の肌を熱くした。



「…急にしなくなったのも、それ?」

「まあ、そうだよ」



私を下に敷いた状態で、久住くんが枕元に手を伸ばした。

ライトが消えて、ふと静けさも増した気がする。

見えない中で、手と唇で探り合う。



「お前、すごくいい仕事するし、ちゃんとしてていい奴だし、そのくせ夜はやらしくて」

「誤解を招くようなこと言わないで」

「そういうのわかってきたら、だんだん、どうしたらいいかわかんなくなってさ」

「え、なんでわからなくなるの?」

「リスペクトが増すと、自分勝手した後の後悔がすっげえの、めちゃくちゃやった後とか、ほんと消えたくなった…」



ほんとに消えそうな声だ。



「でも時間がたつと、やっぱり抱きてーってなって、いやでもダメだ、のくり返し」

「自分勝手してた自覚はあったんだね」

「えっ、でも、お前も喜んではいたよな?」

「どうだろうね?」



えっ、とらしくもなく弱気な動揺を見せる。

くすくす笑いながら、彼の頭を抱きしめた。

清潔な短い髪に、指を埋めてキスをする。



「自業自得だよ、やっぱりおかしかったんだって、あんな始まり」

「流されといて、よく言うぜ」



腕の中で、鎖骨や胸に、甘いキスが降る。

たぶん震えたのを感じ取られて、刺激がだんだんと強くなっていった。



「俺だって考えてたよ、なんであんな無理押ししたのか、自分でもわかんなくて」

「相性がよかったからじゃないの?」

「まあ、それもあるだろうけど」

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