イジワル同期とスイートライフ
「そういうの、全然言ってくれないよね」



六条まで!



「ええー、ダメ兄貴だなあ」

「照れ屋なのかなあ?」

「ただのかっこつけかも」



またそれか。

あからさまなからかいの目を送ってくるふたりをにらみ返して、うかつに六条なんか連れてくるんじゃなかったと悔いた。



「和樹くん、言ってた通りのイケメンさんだね」

「だろ」



駅からの帰り道、ご機嫌の六条とは対照的に、久住は言葉少なになった。



「なんで機嫌悪いの」

「俺のことは久住くんで、あいつは和樹くんですか」

「じゃあ弟さんも久住くんて呼ぶよ」

「そういうことじゃねーよ」

「わかってるよ」



ふてくされた久住の手を取って、ぎゅっとくっついてくる。

夜道にふたりの息が白く散り、久住は着ているダウンのポケットに、繋いだままの手を突っ込んだ。



「久住くんも呼んでくれないし」

「それは…」

「かわいいとも言ってくれないし」

「俺、言ってるよな?」



さっきからそこは抗議しようと思ってたんだが。

すると六条が、妙に冷ややかな目つきを投げてきた。



「言っとくけど、夜のああいうのは、別カウントだから」

「え、そうなの、なんで」

「じゃあ私が、そういうときだけ『久住くんて男らしい』って言ったらどう、複雑じゃない?」



それは…嬉しくなくはないが、確かに複雑だ。

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