今、2つの色で
笑顔で、そう言った。
こんなやつ、いたっけ。
セミロングの黒髪に、少しだけ短くしたスカート。
見た目は“優等生”と“普通”のちょうど中間ってとこか。
「よろしくね、逢坂くん」
俺は慣れない言葉に驚きながらも、ぎこちなく頷いた。
まぁ、悪い気はしねぇけど。
――そのときはただ、それだけの感情で。
そのときの俺と東条を、近くで楠森が見ていたことなんて。
そんなことを気にする理由なんて、なかった。