人間嫌いの小説家の嘘と本当

式場のキャンセル?……あれ、してなかったっけ――
思い返しても式場に連絡した覚えがない。

侑李との生活があまりにも慌ただしくて、すっかり忘れていた。
それに私がしなくても、真幸の方で処理しているものと思い込んでいた。

もしかして、それが原因?
私がまだ真幸に気があると思って、こんなことをしたって言うの?



「ちょっと真幸。確認のために聞くけど、彼女とはどうなってるの?」

「別れた……だって彼女、お前と違って性格キツイし金遣い荒いしファザコンだし……仕舞いには、涼花と結婚しようとしたこと父親に告げ口して、他の男と結婚するからって呆気なく振られた」



まさしく罰が当たるっていうのは、この事だ。
取引先である部長に知られたのなら、取引中止とか会社的に問題が生じる事だろう。

もしかしたら、会社も辞めさせられたかもしれないな。
まぁ、普通なら会社から言われなくても居づらくて自分から辞職するだろうけど。

仮に私が、式場のキャンセルを直ぐにしていれば、真幸はこんな馬鹿なことをしなくて済んだのかな。

人生「たら」「れば」の繰り返し。
後悔をしないように、その時その時で最善の方法を選択していくしかない。

今なら間に合う。
犯罪に手を染める前に、新たな道を光ある道を選択して欲しい。
私の声は、まだ真幸に届くかな。

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